○先日、小学校の先生とお話しする機会がありました。
その先生いわく、「図工の時間に絵を真剣に描いている子どもたちを見ていると、あんまり瞬き(まばたき)をしないんですよ」。
人が真剣にモノゴトに集中すると、例えば1分間の瞬きの回数が極端に減るそうです。子どもたちが絵を描こうと一心不乱に手を動かしている時や、まさに食い入るようにモチーフ(それは花だったり、大好きな虫だったり動物だったり)を見つめる時、ごく自然と瞬きが少なくなるのかもしれません。そういえば小学生よりもっと小さな子どもたちは、大好きなアニメや気になるテレビCMを見る時、目をまん丸にして見つめていますよね。
有名な画家ピカソの生前のフィルムの中で、彼の瞬きについて言及しているものがあって、ピカソも子どもと同様に作品を制作する時は瞬きの回数が驚くほど少なかったそうです。
「よく見て描く」ことは、瞬きが少なくなるほど、まさに「よ~く見る」ことなのかもしれませんね。
こんな所に、もしかしたらデッサン上達のカギがひそんでいるのかもしれません。
みなさん、モチーフを「よ~く見て」いますか?
○画面上での作業が佳境に入ってくればくるほど、手を動かす時間は増え、画面と向き合っている時間は当然長くなってきますよね。
でも、そんな時ちょっと席を立って自分の絵を遠くから眺めてみて下さい。画面全体を見渡すことで、それまで気付かなかった問題点を発見できるかもしれません。大きな調子の流れ、描き込みのバランス、形の狂い…、そして、何よりも絵を自分から離して見ることで、作品全体の印象をしっかりと認識することができ、絵を描き進める上では、とても重要なことなのです。
「小さなことに気を取られてて、ここがこんなに曲がってた」「このモチーフ、全然形が違ってた」「ここ描くの忘れてたー(笑)」……等々。
日常の制作過程はもちろん、完成に近付くにつれて、自分の身体の「アクション」をぜひ大きくしてみて下さい。
「立ったり座ったり」は、とても大切ですよ!
2009.6.5
omi