昨日9月28日(火)に、ほぼ毎月恒例の「絵のヒント」を開催しました。テーマは「構図を考える」。
構図というと、画面への入れ方と単純に思われがちですが、実はそれだけではなく、けっこういろいろな要素が絡み合って出来上がるものなのです。そこで、昨日みなさんにお話ししたのは、構図を決めるときに、まず主題(描きどころ、見せ場)を明確にして、それを中心に構図をとってみること(必ずしも画面の中心に配置することではありません。)や主題をよりよく見せるために視線の流れを考えること、そのためにどういう風に構成していくのかということでした。
特に昨日はその構成の手法の一つである「反復」について、フランスの画家・ボナールの初期の作品を見ながら解説してみました。
この作品のタイトルは「午睡」。ヌードの女性が昼寝をしている場面が描かれているのですが、絵のなかの世界そのものがまさに眠りの世界を表しているような、そんな空気が流れている作品です。主題となるのは当然この寝ている裸婦ですが、よく見るとこの裸婦の流れるような曲線は、布団やシーツや枕、背景の模様、足の裏のフォルム、はたまたベッドの下のわんちゃんのフォルムと呼応しています。この曲線のフォルムの反復が眠りの空気感をつくりあげているといってもよいでしょう。もちろん色彩も眠りのイメージを出すことに協力していて、背景の壁紙やベッド台の赤と緑が彩度が抑えられたパステルトーンになっていることも、甘い雰囲気を醸し出すことと密接に関わっています。これが彩度の高い赤と緑なら、眠りどころではなくなってしまいます。
他にもいろいろな要素が構成されてこの絵の構図が出来上がっていますが、とりあえず昨日はこの反復という構成の手法についてお話ししました。